申請書の書き方のポイント(落とし穴)

2017年11月1日

申請書の書き方のポイント(落とし穴)

助成金は、申請書類の書き方を誤ると、不支給に繋がることがあります。ここでは、申請書類のどの部分が不支給の原因になったり、極めて使い勝手が悪くなるケースを選びました。適切な記載方法を指南いたします。


1.以下の就業規則は、キャリアアップ助成金パンフレット21ページの記載例です。このまま使用すると不支給につながります。
どこが問題だと思いますか?

キャリアアップ助成金パンフレット21ページの記載例


回答:「転換時期は、毎年原則4月1日とする。」の部分です。この記載では、例えば、10月1日に正社員に転換すると不支給になります。


こうすればよかった:「転換時期は、原則毎月1日とする。」とすれば、どの月であっても、1日に正社員に転換すれば助成金の支給対象となります。


2.人材開発支援助成金制度導入活用マニュアル39ページのセルフ・キャリアドック制度の設定の例示です。
どこが問題だと思いますか?

人材開発支援助成金制度導入活用マニュアル39ページのセルフ・キャリアドック制度の設定の例示

回答:例えば、正社員10人、パート・アルバイトが100人の会社では、全労働者110人が年度末の3月にキャリアコンサルティングを受けることになります。


こうすればよかった:まずは、労働者数が多い事業主では、全労働者対象のセルフ・キャリアドック制度の導入自体が向いていない面があります。この制度の導入は慎重にした方がよいです。導入するときには、入社後3年毎に実施などで、時期を分散していくとよいです。


3.人材開発支援助成金制度導入活用マニュアル60ページの技能検定に関する就業規則の例示です。
どこが問題だと思いますか?

人材開発支援助成金制度導入活用マニュアル60ページの技能検定に関する就業規則の例示


回答:第1項では、業務命令で、会社は、全ての労働者に、技能検定を計画的に受検させる。第4項では、任意で、会社は、労働者から、自発的に技能検定を受検する旨の申出があった場合、その内容を検討のうえ、次の措置を講ずる。このまま使用すると業務命令と自発的な受検の二つがある制度となっています。

また、技能検定実施状況報告書の⑤で
□業務命令により受検する技能検定
□労働者が自発的に受検する技能検定
のどちらになるのかがはっきりしないものとなっています。
□業務命令により受検する技能検定 に☑がつくと、受検日の代休ないし賃金支払い、受検時の交通費の支給が必要となります。


こうすればよかった:就業規則は、自発的で、合格報奨金の支払日、金額、支払方法をはっきりするとよいです。


(技能検定)
第xx条 会社は、従業員から、自発的に技能検定を受検する旨の申出があった場合、その内容を検討のうえ、技能検定の受検料を、会社が全額負担する。
会社は、技能検定に合格した従業員に、合格報奨金として、合格発表日から2カ月以内に10,000円を給与振込口座に振込する。

技能検定実施状況報告書


4.セルフ・キャリアドック制度を就業規則に規定してから、人材開発支援助成金一般訓練コースを申請。35歳以上の正規従業員向けの研修(一般訓練コース)を企画(年齢から人材開発支援助成金一般訓練コースとなる)。その後、人材開発支援助成金一般訓練コースの申請要件に、セルフ・キャリアドック(定期的なキャリアコンサルティング)を規定することがあり、セルフ・キャリアドック制度を就業規則に規定して一般訓練コースを申請した。
どこが問題だと思いますか?


回答:先にセルフ・キャリアドック制度を就業規則に規定して一般訓練コースを申請しているので、人材開発支援助成金セルフ・キャリアドック制度47.5万円が支給されません。


こうすればよかった:先に、人材開発支援助成金セルフ・キャリアドック制度47.5 万円を計画申請して、労働局認定後に同制度を就業規則に規定して、その後で、人材開発支援助成金一般訓練コースの申請をすればよかったのです。


5.人事評価改善等助成金を申請することを決定していたが、職場定着支援助成金の資格手当制度(評価・処遇制度)を先に申請してしまった。
どこが問題だと思いますか?


回答:職場定着支援助成金の評価・処遇制度10 万円と人事評価改善等助成金の制度整備助成50万円、目標達成助成80万円は併給調整(どちらか一つだけ)があります。


こうすればよかった:人事評価改善等助成金の申請の予定があれば、職場定着支援助成金評価・処遇制度は申請しないこと。職場定着支援助成金の研修制度 10万円、健康づくり制度 10万円を申請すればよかったのです。


6.有期契約労働者の雇入時、6か月後に正規雇用労働者として雇用することを労働条件通知書に明記した。
どこが問題だと思いますか?


回答:「正規雇用労働者(多様な正社員を含む。)として雇用することを約して雇い入れられた有期契約労働者等でないこと。」の要件に該当しなくなり、キャリアアップ助成金正社員化コース57万円/1人が不支給となります。


こうすればよかった:正規雇用労働者(多様な正社員を含む。)として雇用することを約束しなければよく、有期契約労働者中の働きぶり、面接試験などで正社員になれると説明すればよかったのです。


7.職場定着支援助成金(個別企業助成コース)で、従業員の離職率の低下が図られた場合に確実に目標達成助成57万円を受給するために、不可能と知りつつ、4つの制度で申請した。また、3つしかできなかったが、最後まで変更届を提出しなかった。

イ.評価・処遇制度 10万円

ロ.研修制度 10万円

ハ.健康づくり制度 10万円

ニ.メンター制度 10万円

どこが問題だと思いますか?


回答:職場定着支援助成金バンフレット3ページの左側「③ 雇用管理制度の実施、②で導入した雇用管理制度を計画どおりに実施」することが必要で、3つできても、30万円ではなく、ゼロ円となり、目標達成助成57万円もなくなります。


こうすればよかった:できるコースのみの計画申請をするか、できない場合には、計画期間が終わるまで変更届を提出すればよかったのです。

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