人材開発支援助成金とは
具体的には、訓練関連の各コースは、従業員の職業能力開発についての計画(事業内職業能力開発計画、年間職業能力開発計画)に基づいて訓練を行った事業主に対して、訓練経費と訓練期間中に支払った賃金の一部を助成します。また、事業主団体などが、傘下の事業主の雇用する労働者に対して、訓練を実施した場合に経費を助成します。
制度導入関連の各制度は、事前に認定を受けた計画に基づき、制度を導入・実施した場合に、事業主または事業主団体等に対して助成します。
本助成金は次の4つのコースに分けられます。
- 訓練関連
- ❶特定訓練コース
- ❷一般訓練コース
- 制度導入関連
- ❸キャリア形成支援制度導入コース
- ❹職業能力検定制度導入コース
訓練関連
❶特定訓練コース
職業能力開発促進センター等が実施する在職者訓練(高度職業訓練)、事業分野別指針に定められた事項に関する訓練
※、専門実践教育訓練、生産性向上人材育成支援センターが実施する訓練等
※事業主または事業主団体等が、中小企業等経営強化法において事業分野別経営力向上推進機関と認定され、さらに事業分野別経営力向上推進業務として行う事業分野別指針に定められた事項に関する研修として行う訓練。
- ●採用5年以内で、35歳未満の若年労働者への訓練
- ●熟練技能者の指導力強化、技能承継のための訓練、認定職業訓練
- ●海外関連業務に従事する人材育成のための訓練
- ●厚生労働大臣の認定を受けたOJT付き訓練
- ●直近2年間に継続して正規雇用の経験のない中高年齢新規雇用者等(45歳以上)を対象としたOJT付き訓練
【対 象】中小企業・中小企業以外・事業主団体等
❷一般訓練コース
【対 象】中小企業・事業主団体等
【助成額・助成率】
【支給限度額】
1)Off-JT賃金助成・OJT実施助成の限度時間
1人あたりの賃金助成、実施助成の時間数の限度は次のとおりです。
- ●Off-JT賃金助成(1人1コース当たり)
- ●OJT実施助成(1人1コース当たり)
特定訓練コース、一般訓練コース共に1,200時間が限度時間となります。
ただし認定職業訓練、専門実践教育訓練については1,600時間が限度時間となります。
680時間が限度時間となりますが、中高年齢者雇用型訓練については382.5時間が限度時間となります。
※特定訓練コース及び一般訓練コースを事業主団体等が実施した場合は賃金助成及び実施助成は対象となりません。
2)経費助成の限度額(1人当たり Off-JTに限る)
1人1コース(OFF-JTに限る)あたりの経費助成の限度額は実訓練時間に応じて下表のとおりとなります。(注)企業連携型訓練においては、出向元事業主と出向先事業主のいずれかが中小企業の場合は、中小企業事業主の額、その他の場合は中小企業以外の事業主の額とする。
(注)育児休業中の者に対する訓練等については、企業規模に応じて、中小企業の場合は30万円、大企業の場合は20万円とする。また、専門実践教育訓練の実施方法が通信制として講座指定された訓練等については、企業規模に応じて、中小企業の場合は50万円、大企業の場合は30万円とし、訓練時間に応じた限度額は設けない。
※1 特定訓練コース及び育休中等の者に対する訓練については、10時間以上100時間未満
3)支給に係る制限
Ⅰ 特定訓練コース、一般訓練コース
①訓練等受講数の制限
助成対象となる訓練等の受講回数の上限は、1人当たり1年度(「年間職業能力開発計画期間」内)3回までとなります。
②1事業所・1事業主団体等の支給額の制限※1
1事業所または1事業主団体等が1年度※2に受給できる助成額は、特定訓練コースを含む場合は1,000万円※2、
一般訓練コースのみの場合は500万円※3が上限となります。
※1 支給額の上限はキャリア形成促進助成金を含めた合計額となります。
例:キャリア形成促進助成金の一般型訓練コースにて150万円、重点訓練コース(若年人材育成訓練)にて150万円受給し、人材開発支援助成金の一般訓練コース300万円申請した場合は上限500万円ー既に受給した金額300万円=人材開発支援助成金200万円の受給となります。
※2 支給申請日を基準とし、4月1日から翌年3月31日まで
※3 各コースの助成額を合計した上限額です。1事業主が単独で申請したうえで共同事業主として申請する場合も各上限額となります。また、制度導入関連の支給額は当該上限には考慮しません。
Ⅱ 職業能力検定制度導入コース(業界検定制度)
1,000万円が上限となります。
制度導入関連
③キャリア形成支援制度導入コース
- ●定期的なセルフ・キャリアドック制度を導入し、実施した場合に助成
- ●教育訓練休暇制度又は教育訓練短時間勤務制度を導入し、実施した場合に助成
④職業能力検定制度導入コース
- ●技能検定に合格した従業員に報奨金を支給する制度を導入し、実施した場合に助成
- ●社内検定制度を導入し、実施した場合に助成
- ●業界検定制度を作成し、構成事業主の労働者に当該検定を受検させた場合に助成 (事業主団体等のみ対象)
【助成金額】
生産性要件
(1)助成金の支給申請を行う直近の会計年度における「生産性」が、その3年前に比べて6%以上伸びていること
(2)「生産性」は次の計算式によって計算します。
なお、「生産性要件」の算定の対象となった期間中に、事業主都合による離職者を発生させていないことが必要です。
【生産性改善により増額加算される助成金】
人材開発支援助成金の活用事例
《製造業》 C社の事例
金属部品の製造をメインとするC社(社員数160名)は、業務の幅が拡がってきていることから、新入社員に対しての研修が追い付かず、離職者が増えていた。
そのため新入社員には製造業全般の総合理解および職務に特化した知識・技能の基本を習得のみならず、仕事の魅力や技術者としての心構え等、将来のキャリアプランが描けるような訓練を実施したいと考えていた。
そこで「人材開発支援助成金(特定訓練コース:特定分野認定実習併用職業訓練)」を利用し、外部の教育訓練機関へOFF-JT研修とOJT研修を組み合わせた訓練を実施することにした。
教育訓練の結果は上々で、社員の技術は大幅に向上した。また技術を持つことで自信を深めたため社員の離職率の減少につながった。
《電気工事業》 D社の事例
電気設備工事を営むD社(社員数10名)では、喫緊の課題として新入社員に資格取得のための知識技能を習得させる必要があった。
有資格者の社員の退職により、新入社員にも即戦力として活躍してもらう必要が出てきたためである。
また、日進月歩の業界でもあり、技術革新のスピードに追いつくため常にアンテナを張り、最新のノウハウを習得しなければならない。
そこで「人材開発支援助成金(特定訓練コース:若年人材育成訓練)」を利用し、第二種電気工事士研修を受けさせることにした。
早々に第二種電気工事士の資格も取得でき、戦力として活躍してくれた。今後は、第一種電気工事士資格取得のための研修も検討したい。