キャリアアップ助成金とは
本助成金は次の8つのコースに分けられます。
- 1コース
- 有期契約労働者等の正規雇用労働者・多様な正社員等への転換等を助成する
「正社員化コース」 - 2コース
- 有期契約労働者等に対する職業訓練を助成する「人材育成コース」
- 3コース
- 有期契約労働者等の賃金規定等を改定した場合に助成する
「賃金規定等改定コース」 - 4コース
- 有期契約労働者等の正規雇用労働者・多様な正社員等への転換等を助成する
「正社員化コース」 - 5コース
- 有期契約労働者等に関して、正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規定等を設け、適用した場合に助成する
「賃金規定等共通化コース」 - 6コース
- 有期契約労働者等に関して、正規雇用労働者と共通の諸手当に関する制度を設け、適用した場合に助成する
「諸手当制度共通化コース」(新規) - 7コース
- 労使合意に基づき社会保険の適用拡大の措置を講じ、新たに被保険者とした有期契約労働者等の基本給を増額した場合に助成する
「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」(新規) - 8コース
- 短時間労働者の週所定労働時間を5時間以上延長し、当該労働者が新たに社会保険適用となった場合に助成する
「短時間労働者労働時間延長コース」
また、短時間労働者の週所定労働時間を1時間以上5時間未満延長し、当該労働者が新たに社会保険の適用となった場合も、労働者の手取り収入が減少しないように3または7と併せて実施することで一定額を助成
支給対象事業主(全コース共通)
- ● 雇用保険適用事業所の事業主であること
- ● 雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主であること
- ● 雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に対しキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主であること
- ● 該当するコースの措置に係る対象労働者に対する賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備している事業主であること
- ● キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主であること
※キャリアアップ計画書は、コース実施日までに管轄労働局長に提出してください。人材育成コースについては、訓練開始日の前日から起算して1か月前までとなります(キャリアアップ計画の確認後(同時提出可)、訓練計画届を作成し、管轄労働局長の確認を受ける必要があります。)
※この助成金でいう事業主には、民間の事業者のほか、民法上の公益法人、特定非営利活動促進法上の特定非営利活動法人(いわゆるNPO法人)、医療法上の医療法人、社会福祉法上の社会福祉法人なども含まれます。
正社員化コース
- ❶有期→正規:1人当たり57万円<72万円>
- ❷有期→無期:1人当たり28万5,000円<36万円>
- ❸無期→正規:1人当たり28万5,000円<36万円>
- <❶~❸合わせて1年度1事業所当たりの支給申請上限人数は15人まで>
※正規には「多様な正社員(勤務地・職務限定正社員、短時間正社員)」を含みます。
※派遣労働者を派遣先で正規雇用労働者または多様な正社員として直接雇用した場合に助成額を加算
※母子家庭の母等又は父子家庭の父を転換等した場合に助成額を加算
(転換等した日において母子家庭の母等又は父子家庭の父である必要があります)
若者雇用促進法に基づく認定事業主が35歳未満の者を転換等した場合に助成額を加算
(転換等した日において35歳未満である必要があります)
いずれも①:1人当たり95,000円<12万円>、②③:47,500円<60,000円>
※勤務地・職務限定正社員制度を新たに規定し、有期契約労働者等を当該雇用区分に転換又は直接雇用した場合に助成額を加算
①③:1事業所当たり95,000円<12万円>
人材育成コース
- ❶一般職業訓練(Off-JT)(育児休業中訓練、中長期的キャリア形成訓練を含む)
- ❷有期実習型訓練(「ジョブ・カード」を活用したOff-JTとOJTを組み合わせた3~6か月の職業訓練)
●Off-JT分の支給額
・賃金助成・・・1人1時間当たり760円<960円>
・経費助成・・・実費助成※訓練時間数に応じて1人当たり次の額を限度
●OJT分の支給額
実施助成・・・1人1時間当たり760円<960円>(665円<840円>)
<1年度1事業所当たりの支給限度額は1,000万円>
賃金規定等改定コース
- ❶すべての有期契約労働者等の賃金規定等を2%以上増額改定した場合
- ❷一部の賃金規定等を2%以上増額改定した場合
対象労働者数が | 1人~3人: | 95,000円<12万円> |
4人~6人: | 19万円<24万円> | |
7人~10人: | 28万5,000円<36万円> | |
1人~100人: | 1人当たり28,500円<36,000円> |
対象労働者数が | 1人~3人: | 47,500円<60,000円> |
4人~6人: | 95,000円<12万円> | |
7人~10人: | 14万2,500円<18万円> | |
1人~100人: | 1人当たり14,250円<18,000円> | |
<1年度1事業所当たり100人まで、申請回数は1年度1回のみ> |
※中小企業において3%以上増額改定した場合に助成額を加算
・すべての賃金規定等改定:1人当たり14,250円<18,000円>
・一部の賃金規定等改定:1人当たり7,600円<9,600円>
健康診断制度コース
助成されます。
賃金規定等共通化コース
諸手当制度共通化コース
選択的適用拡大導入時処遇改善コース
3%以上5%未満:1人当たり19,000円<24,000円>
5%以上7%未満:1人当たり38,000円<48,000円>
7%以上10%未満:1人当たり47,500円<60,000円>
10%以上14%未満:1人当たり76,000円<96,000円>
14%以上:1人当たり95,000円<12万円>
<1事業所当たり1回のみ、支給申請上限人数は30人まで>
※本コースは、平成32年3月31日までの暫定措置となります。
※対象労働者が複数以上であり、基本給の増額割合が異なる場合は、最も低い増額割合の区分の支給額が適用されます。
短時間労働者労働時間延長コース
- ❶短時間労働者の週所定労働時間を5時間以上延長し新たに社会保険に適用した場合 1人当たり19万円<24万円>(14万2,500円<18万円>)
- ❷賃金規定等改定コースまたは選択的適用拡大導入時処遇改善コースと併せて労働者の手取り収入が減少しないように週所定労働時間を延長し、新たに社会保険に適用した場合 ※平成32年3月31日までの暫定措置となります。
※平成32年3月31日までの間、支給額を増額しています。
1時間以上2時間未満: | 1人当たり38,000円<48,000円> |
2時間以上3時間未満: | 1人当たり76,000円<96,000円> |
3時間以上4時間未満: | 1人当たり11万4,000円<14万4,000円> |
4時間以上5時間未満: | 1人当たり15万2,000円<19万2,000円> |
<1年度1事業所当たり支給申請上限人数は15人まで> | |
※平成32年3月31日までの間、上限人数を緩和しています。 |
キャリアアップ助成金の活用事例
《サービス業》 A社の事例
地域で5店舗を運営する介護事業者A社(社員数50名)は、せっかく育ったスタッフが長く居つかず、すぐに辞めてしまうことが経営上の大きな課題となっていた。
そのためA社では、それまで見直すことなく採用活動を進めてきた「雇用形態の整備」に踏み切った。
「キャリアアップ助成金(正規雇用等転換コース)」を申請し、「パートタイム社員」「契約社員」「正社員」というように、スタッフの雇用形態を明確にするとともに、パートタイム社員や契約社員には正社員へ転換できる制度を設けたほか、正社員については福利厚生面も充実させ、より魅力のある労働条件とした。
A社の正社員の待遇は、他社に比べても充実したものであり、スタッフの退職を防止できると考えている。
また、正社員転換制度はパートタイム社員や期契約社員にとって、日々の仕事を頑張るモチベーションとなっている。
《製造業》 B社の事例
ベアリングの製造を主とするB社(社員数300名)は、社員の技術習得がうまくいかず悩んでいた。
入社したばかりの社員にもすぐに業務へ参加させるのだが、技術が追い付かず会社に貢献できなかったり、業務にマッチせずすぐに辞めてしまったりというケースが多く見られた。
そこで「キャリアアップ助成金(人材育成コース)」を申請し、入社したばかりの契約社員に対してOff-JTとOJTを組み合わせた「有期実習型訓練」を計画的に実施し、会社の基準を満たす人を「正社員」へと転換する方針に切り替えた。
この研修制度によって社員の技術習得がスムーズに行えるだけでなく、契約社員⇒正社員という流れができたことで社員にとってはモチベーションアップにつながっている。