助成金を受給するための注意点
2017年10月18日
助成金を受給するためのポイントは、次の3つです。
- 1.アクションを起こす前に計画申請すること
- 2.事前に労働法令に準拠した書類を整備しておくこと
- 3.助成金の難易度によっては、専門家である社労士の助言を受けて計画申請を
すること
1.アクションを起こす前に申請すること
助成金に関して専門家に寄せられる質問で一番多いのが、「最近、アルバイトさんを正社員にしたばかりだけど、遡って助成金をもらえないか?」など、遡ってなんとかならないかという質問です。答えは、「残念ながらダメ」です。
助成金は、社員の研修や育成、処遇改善をあらかじめ計画して労働局へ助成金の支給申請をした後、その計画に沿ってアルバイトを正社員化したり、キャリアコンサルティングを実施したりすること等により支給されます。
ですから、アクションを起こす前に、助成金の計画申請をすることがとても大切です。以下はアクションを起こす前に助成金申請をした場合と、しなかった場合の受給金額の違いです。
(1)アルバイトを正社員にする前に助成金申請(①キャリアアップ計画を提出、②アルバイトを正社員にした、③キャリアアップ助成金正社員化コースの支給申請)した場合:助成金57万円
事前に助成金申請をせずにアルバイトを正社員にした場合:助成金ゼロ円
(2)セルフ・キャリアドック制度を策定して、キャリアコンサルティングを実施する前に助成金申請(①人材開発支援助成金セルフ・キャリアドック制度の計画申請②セルフ・キャリアドック制度を策定して、キャリアコンサルティングを実施③支給申請)をした場合:助成金47.5万円
事前に助成金申請をせずにセルフ・キャリアドック制度を策定して、キャリアコンサルティングを実施した:助成金ゼロ円
2.事前に労働法令に準拠した書類を整備しておくこと
助成金の財源は会社が国に支払う「雇用保険料」です。ですから、その支給の判断は労働基準法を掌る各都道府県の労働局が行います。労働基準法の法定帳簿などを整えていない企業は、助成金を受給できません。以下、例を挙げて助成金の受給のために必要な書類を解説します。
(1)人材開発支援助成金セルフ・キャリアドック制度(人材開発支援助成金制度導入活用マニュアル21ページより)
- □ 制度を実施した労働者が被保険者であることを確認するための書類(労働条件通知書又は雇用契約書の写し)
- □ キャリアコンサルティングを受けた者の出勤状況を確認するための書類(出勤簿などの写し)
(2)助成金を支給申請する場合には、雇用契約書・出勤簿・賃金台帳が必要です。また、雇用契約書に書いてある、①労働契約の期間(の定め無し)、②就業の場所・従事する業務の内容、③始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇等、④賃金の決定・計算・支払方法、賃金の締切り・支払の時期に関する事項と出勤簿の始業・終業時刻、賃金台帳の支給日、賃金額が完全に一致していることが必要です。